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眠りによせて[ザクレノ/FF7]

ねむいザクレノ
さわさわ、さわさわ、きもちい、なんだ、これ?
ふわりふわり漂う意識の中で、誰かに頭を撫でられているような気がする。
とても優しい手だ。
一体誰の手だろうか、思考を進めようとした意識は、きもちよさにゆるゆる溶けていく。
(・・重い・・)
身を捩ろうとして、身動きが取れないのに気付く。
腹の辺りになにか乗っているようだった。
それがきっと手の主なのだろうと瞼を抉じ開けようとするも、己の瞼も重くて。
(目え、開かねえ・・)
心地良いまどろみにまだ浸かっていたくてそのままにしておいたら、乾いた感触が額の辺りに押し付けられて。
くすぐってぇなぁ、とか思ってたら、そのかさかさしたのは、額から降りて鼻、んで耳、首、と順番に押し付けられて。
かさかさが俺の指に辿り着いて、ちゅ、って音を立てられて漸く、ああ、キスされてんのか、って思い至った。
まだ重い瞼を半ば無理矢理抉じ開ければ、視界は真っ黒で。
あれ、目、開けたよな俺、ん?って思ってたら、黒いものは俺の目の前でもそもそ動いた。
「あ、起きた?」
まだ寝てて良かったのに、とくすくす笑う声。
黒いものが動いて、俺の眼前には綺麗な蒼い瞳。
空色を細めて笑う、ソルジャーの姿。
(・・はんそく)
お前、その顔、いつもと違えじゃん。
いつもはもっと、あれだ、あれ、馬鹿みたいな顔してるだろ、と。
「寝ててイイよ、レノ」
高すぎず、低すぎず、耳に心地良い穏やかな声に、ゆるり、浮上しかけた意識がまたまどろみそう。
生意気言ってんじゃねえよ子犬、と言おうとした俺の唇は結局上手く機能せず、小さく息が漏れただけ。
さわさわ、さわさわ。
ゆるやかにザックスの指が俺の髪を梳いて。
その高い体温に、またまた眠りに引き戻されそうになって。
なんだか少し癪だったから、ぐ、と腕を伸ばして、黒い髪を掴んだ。
「う、わ?」
子犬はいささか間抜けな声を上げて、俺の上に倒れこんで。
俺を押し潰す前に上手く避けて(そこらへんはさすがソルジャー)、最終的に俺のすぐ横に納まった。
「お前も寝ろ、と」
ぽかんとした顔。
折角顔は整ってんのに、馬鹿みてえな顔。
いい気味だぞ、と。
「おう」
ザックスがなんとも幸せそうに笑ったのを見届けて、俺はもう限界まで重くなっていた瞼をゆっくり閉じた。
さわさわ、さわさわ。
少し痛んだ赤い髪を梳く。
触れるとぴくぴく指の先が動くのがなんだか可愛くて(本人に言ったら殴られそうだけど)、ゴーグルの無い額にキスをした。
くすぐったいのか、むずむずと眉が動く。
と言ってもレノの眉毛はすごい短いので、眉間が動く、と言うのが正しいけど。
ちゅ、ちゅ、といたる所にキスを降らせて。
起きないかなぁ、って思った後に、まだもう少し寝てて欲しい、って思った。
最近ずーっと会えてなくて、さしずめお預けくらった犬のような状態で。
会えないっていうのは、まぁそれだけ仕事が忙しかったんだろうなっては思ったんだけども。
思ったんだけど、やっぱり、久々に逢ったら我慢してた分色々と歯止めが利かなくなっちゃって。
(うーん、無理させたかなぁ)
あまり血色の好くない顔を見て、少し反省、したり。
ちゅ、ってリップ音を立てて指を啄ばんだら、ぼーっとした翡翠が此方を見ていた。
「あ、起きた?まだ、寝てて良かったのに」
嘘。
ホントは早く起きて欲しかった。
でも疲れているのなら、無理はさせたくないと思ったのもまた事実で。
「寝ててイイよ、レノ」
ゆっくりした手付きで綺麗な色の髪を撫でれば、碧の眼がす、と細められて。
猫みたいだな、なんて思ったりして。
ゆらゆら翡翠が揺れたから、あ、寝るかな?と思ったら、ぐいん、って思ったより強い力で後頭部を掴まれた。
咄嗟のことにびっくりした俺は情けなくも体制を崩してレノに倒れこむような形になってしまって。
(まずい!)
慌てて腕を付いて身を捩り、レノを押し潰すのは回避して、その横に収まった。
「お前も寝ろ、と」
寝惚けて掠れた声のレノがすごくすごく愛しく思って、レノをぎゅって抱きしめて。
「おう」
瞼を閉じたレノの綺麗な寝顔にそっとキスして、俺もゆっくり目を閉じた。
ゆるゆる、引き摺られて、きっといい夢が見れそうだ。
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